自己破産|自由制限とは|弁護士詳説
破産手続開始決定後に破産者が受ける制限とはどのような制限があるのか、またなぜそのような制限が必要となるのか弁護士が説明します。
自由財産と自由制限どう違うのか

破産開始決定後に、財産の処分はできない
破産手続で処分されない財産を「自由財産」と呼びます。「自由制限」とは財産とは違い、破産申立をして開始決定を受けると、勝手に財産を隠匿したり処分できないようにするために、行動にも制限が生じます。
そういった制限を自由制限と呼びます。
自由財産とは

最小限の家具は処分されない
破産手続で処分されない自由財産とは、99万円以下の現金、生活に必要な家具・家電、仕事に必要な工具などが該当します。 自由財産は、破産者の生活を維持するために必要な最低限の財産保護を目的とします。
しかし、家電製品であっても、購入したばかりの大型テレビであったり、家具であっても売却すると高い値で売れるというのは自由財産として認められません。そもそも自己破産は、売るものもなくてもうどうやっても払っていけないという場合に、国に申立てる手続きですから、売れるものがあれば売って債権者に返済する(公平按分)ことになります。
自由制限とは
具体的にどのような制限があるのでしょうか。箇条書きにまとめましたのでご覧ください。

破産開始決定後は、郵便物は管財人が開封する
財産の管理処分権の喪失
破産手続開始決定前に所有していた財産については、破産管財人が管理・処分する権限を持つようになります.勝手に処分して換金するようなことはできません。しかし、破産手続開始決定後に取得した財産については、破産者自身に自由に処分したりすることができます。つまり破産開始決定後の財産については破産者に管理処分権があります。
居住地の制限
破産手続開始決定後、原則として居住地を離れることはできません。 裁判所の許可を得ない限り、転居や旅行もできません。破産手続きが開始されると、裁判所から呼びだしがきたり、管財人が財産を調査するので、面倒だからとおもって逃げるような行動はダメです。できません。何か事情があるときは、代理人弁護士に相談し裁判所に決めてらうしかありません。
通信の秘密の制限
破産者宛の郵便物は、破産管財人によって開封されます。内容が確認されるのは、破産者が隠し財産や債権者を除外していることを防ぐためなので、法律で決められていることなので嫌だと思っても仕方がないと思ってください。
その他
破産手続き開始決定後、一定の期間、免責不許可事由に該当する行為や、破産管財人の指示に従わない行為は、免責が認められない事由になり得るので十分注意してください。免責不許可事由については、こちらをご覧ください。 ▶自己破産|免責不許可事由
法律にある自由制限 破産者の説明義務
ここでは、自由制限の目的が分かったと思いますので、破産者の説明義務について触れておきます。
破産申立後開始決定がでると管財事件になった場合は破産管財人がつきます。破産管財人や裁判所から、破産に至ることになった事情など、必要だと思われる事柄に対して説明を求められたら、誠実に説明する義務があるのです。誠実にとは、ありのまま真実を性格に述べる必要があります。こういった情報開示はすべて破産者の義務に含まれます。
このほかにも破産手続き開始決定後どのような義務があるのかについて触れておきましょう。
破産者の説明義務の目的

説明を求められたら応じなければならない
破産者の説明義務は、前に書いてあるとおり破産申し立て後開始決定が出たあとに破産者が制限を受ける目的と同じと思ってもいいでしょう。
破産手続における公平性を確保するためです。自由制限は債権者を害することが内容に設けられましたね。破産者は債権者の利益を害することがないように、説明義務を負います。つまり説明義務も債権者を保護するために設けられています。破産者の財産状況や破産に至った経緯を明らかにするために、積極的に情報開示を促すことで、債権者が公平に債権の配分を受けることができるようにしています。ですから裁判所が情報を得るために必要と判断した場合は、破産者の従業員から事情を聴くこともあります。代理人弁護士に対しても説明義務は課されます。ここではそういう説明義務について少しだけ触れておきます。
説明義務は破産者だけが義務を課せられるわけではない
説明義務者は次のとおりです。

破産者だけでなく裁判所の要請には従業員だって説明義務を負う場合がある
破産者本人:
破産手続開始決定を受けた個人または法人となります。
破産者の代理人:
破産者の代理人は、破産者本人が説明義務を果たすことができない場合に代わって説明義務を負います。代理人に対しては、ありのままをきちんと説明することが大事です。
破産者が法人の場合、その役員(取締役、執行役など):
法人の経営者として代表でなくても取締役、執行役、監査人など経営陣は、破産手続に必要な情報を提供する義務を負います。
破産者の従業員:
裁判所の許可を得て、破産管財人が従業員に説明を求めることができます。その場合従業員は、社長をかばったりすることなく、聞かれたことに対して誠実に話すことが求められます。
過去にこれらの地位にあった者:
破産手続開始時にこれらの地位にあった者も、同様の義務を負う場合があります。
説明義務違反は免責不許可事由になる

誠実にかつ正確に説明義務を果たすと何の問題もない
破産管財人からの請求に応じた説明:
破産管財人から財産状況、破産に至った経緯などに関する説明を求められた場合、真実かつ正確な情報を開示する義務があります。
財産開示義務:
破産手続開始決定後、破産者は所有する不動産、現金、有価証券など、裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を提出しなければなりません。自由制限をあまく見てはいけません。
説明義務違反のペナルティ:
説明義務を拒否したり、虚偽の説明をしたりした場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられることがあります。自由制限により、申立後の転居もダメです。あくまでも誠実に、裁判所に対して回答しなければなりません。
免責不許可事由:
破産者の説明義務違反は、免責不許可事由となり、破産者の債務が免責されない可能性があります。
違反行為が著しい場合は、免責になりません。
破産手続きの自由制限や説明義務についての法律
自由制限や説明義務は、いずれも債権者の利益を保護するためでしたね。実際に法律ではどのように書かれているのでしょうか。次に掲載しましたのでご覧ください。法律は守らないと、これからの人生に大きな影響を残します。破産者になっても借金を払い続けることになってしまいます。ペナルティがあるということに注意が必要です。ズルはいけないということです。
第40条【破産者等の説明義務】 1 次に掲げる者は、破産管財人若しくは第144条第2項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし、第5号に掲げる者については、裁判所の許可がある場合に限る。 ① 破産者
② 破産者の代理人
③ 破産者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役及び清算人
④ 前号に掲げる者に準ずる者
⑤ 破産者の従業者(第2号に掲げる者を除く。)
2 前項の規定は、同項各号(第1号を除く。)に掲げる者であった者について準用する。
【 参照条文 】
第12条【支障部分の閲覧等の制限】 1 次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)を行うことにより、破産財団(破産手続開始前にあっては、債務者の財産)の管理又は換価に著しい支障を生ずるおそれがある部分(以下この条において「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した破産管財人又は保全管理人の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該申立てをした者(その者が保全管理人である場合にあっては、保全管理人又は破産管財人。次項において同じ。)に限ることができる。
第83条【破産管財人による調査等】 1 破産管財人は、第40条第1項各号に掲げる者及び同条第2項に規定する者に対して同条の規定による説明を求め、又は破産財団に関する帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2 破産管財人は、その職務を行うため必要があるときは、破産者の子会社等(次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める法人をいう。次項において同じ。)に対して、その業務及び財産の状況につき説明を求め、又はその帳簿、書類その他の物件を検査することができる。 ① 破産者が株式会社である場合 破産者の子会社(会社法第2条第3号に規定する子会社をいう。)
② 破産者が株式会社以外のものである場合 破産者が株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合における当該株式会社
3 破産者(株式会社以外のものに限る。以下この項において同じ。)の子会社等又は破産者及びその子会社等が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、前項の規定の適用については、当該他の株式会社を当該破産者の子会社等とみなす。
第96条【準用】 1 第40条の規定は保全管理人の請求について、第47条、第50条及び第51条の規定は保全管理命令が発せられた場合について、第74条第2項、第75条、第76条、第79条、第80条、第82条から第85条まで、第87条第1項及び第2項並びに第90条第1項の規定は保全管理人について、第87条第1項及び第2項の規定は保全管理人代理について準用する。この場合において、第51条中「第32条第1項の規定による公告」とあるのは「第92条第1項の規定による公告」と、第90条第1項中「後任の破産管財人」とあるのは「後任の保全管理人、破産管財人」と読み替えるものとする。
2 債務者の財産に関する訴訟手続及び債務者の財産関係の事件で行政庁に係属するものについては、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める規定を準用する。 ① 保全管理命令が発せられた場合 第44条第1項から第3項まで
② 保全管理命令が効力を失った場合(破産手続開始の決定があった場合を除く。) 第44条第4項から第6項まで
第252条【免責許可の決定の要件等】 1 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。 ① 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
② 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。 ③ 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
④ 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
⑤ 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
⑥ 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
⑦ 虚偽の債権者名簿(第248条第5項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第1項第6号において同じ。)を提出したこと。
⑧ 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
⑨ 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
⑩ 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。 イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ 民事再生法第239条第1項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ 民事再生法第235条第1項(同法第244条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
⑪ 第40条第1項第1号、第41条又は第250条第2項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
3 裁判所は、免責許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者及び破産管財人に、その決定の主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
4 裁判所は、免責不許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
5 免責許可の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
7 免責許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。
第268条【説明及び検査の拒絶等の罪】 1 第40条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)、第230条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)又は第244条の6第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、説明を拒み、又は虚偽の説明をした者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。第96条第1項において準用する第40条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、説明を拒み、又は虚偽の説明をした者も、同様とする。
2 第40条第1項第2号から第5号までに掲げる者若しくは当該各号に掲げる者であった者、第230条第1項各号に掲げる者(相続人を除く。)若しくは同項第2号若しくは第3号に掲げる者(相続人を除く。)であった者又は第244条の6第1項各号に掲げる者若しくは同項各号に掲げる者であった者(以下この項において「説明義務者」という。)の代表者、代理人、使用人その他の従業者(以下この項及び第4項において「代表者等」という。)が、その説明義務者の業務に関し、第40条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)、第230条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)又は第244条の6第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたときも、前項前段と同様とする。説明義務者の代表者等が、その説明義務者の業務に関し、第96条第1項において準用する第40条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたときも、同様とする。
3 破産者が第83条第1項(第96条第1項において準用する場合を含む。)の規定による検査を拒んだとき、相続財産について破産手続開始の決定があった場合において第230条第1項第2号若しくは第3号に掲げる者が第83条第1項の規定による検査を拒んだとき又は信託財産について破産手続開始の決定があった場合において受託者等が同項(第96条第1項において準用する場合を含む。)の規定による検査を拒んだときも、第1項前段と同様とする。
4 第83条第2項に規定する破産者の子会社等(同条第3項において破産者の子会社等とみなされるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者等が、その破産者の子会社等の業務に関し、同条第2項(第96条第1項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による説明を拒み、若しくは虚偽の説明をし、又は第83条第2項の規定による検査を拒んだときも、第1項前段と同様とする。
破産者は、裁判所の許可を得なければその居住地を離れることができないとしています。破産者に聞きたいことがある時に、連絡が取れなくなることを防ぐ目的のためです。
裁判所による場合もあるので確認が必要となりますが、2泊以上の長期の旅行や出張に行くときにも、事前に連絡しなければなりません。
※東京地裁の場合、破産管財人へ報告し同意を得るとしています。そのため、破産管財人が把握していることで「裁判所の許可」と同等の扱いになります。
第37条 【破産者の居住に係る制限】 1 破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。
2 前項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
【参照条文】
第172条 【保全処分に係る手続の続行と担保の取扱い】 1 前条第1項(同条第7項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分が命じられた場合において、破産手続開始の決定があったときは、破産管財人は、当該保全処分に係る手続を続行することができる。
2 破産管財人が破産手続開始の決定後一月以内に前項の規定により同項の保全処分に係る手続を続行しないときは、当該保全処分は、その効力を失う。
3 破産管財人は、第1項の規定により同項の保全処分に係る手続を続行しようとする場合において、前条第2項(同条第7項において準用する場合を含む。)に規定する担保の全部又は一部が破産財団に属する財産でないときは、その担保の全部又は一部を破産財団に属する財産による担保に変換しなければならない。
4 民事保全法(平成元年法律第91号)第18条並びに第2章第4節(第37条第5項から第7項までを除く。)及び第5節の規定は、第1項の規定により破産管財人が続行する手続に係る保全処分について準用する。
第230条 【相続人等の説明義務等】 1 相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げる者は、破産管財人若しくは債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。 ① 被相続人の代理人であった者
② 相続人及びその代理人
③ 相続財産の管理人及び遺言執行者
2 前項の規定は、同項第2号又は第3号に掲げる者であった者について準用する。
3 第37条及び第38条の規定は、相続財産について破産手続開始の決定があった場合における相続人並びにその法定代理人及び支配人について準用する。
第244条の6 【受託者等の説明義務等】 1 信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げる者は、破産管財人若しくは債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。 ① 受託者等
② 会計監査人(信託法第248条第1項又は第2項の会計監査人をいう。以下この章において同じ。)
2 前項の規定は、同項各号に掲げる者であった者について準用する。
3 第37条及び第38条の規定は、信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等(個人である受託者等に限る。)について準用する。
4 第41条の規定は、信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等について準用する。
裁判所が必要と認める場合には、破産手続開始決定前でも債務者(破産開始決定後は破産者)の身体の拘束を命じることができます。また逃亡や財産隠しの可能性がある場合は、監守を命じることもあります。
第38条 【破産者の引致】 1 裁判所は、必要と認めるときは、破産者の引致を命ずることができる。
2 破産手続開始の申立てがあったときは、裁判所は、破産手続開始の決定をする前でも、債務者の引致を命ずることができる。
3 前二項の規定による引致は、引致状を発してしなければならない。
4 第1項又は第2項の規定による引致を命ずる決定に対しては、破産者又は債務者は、即時抗告をすることができる。
5 刑事訴訟法中勾引に関する規定は、第1項及び第2項の規定による引致について準用する。
【参照条文】
第230条 【相続人等の説明義務等】 1 相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げる者は、破産管財人若しくは債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。 ① 被相続人の代理人であった者
② 相続人及びその代理人
③ 相続財産の管理人及び遺言執行者
2 前項の規定は、同項第2号又は第3号に掲げる者であった者について準用する。
3 第37条及び第38条の規定は、相続財産について破産手続開始の決定があった場合における相続人並びにその法定代理人及び支配人について準用する。
第244条の6 【受託者等の説明義務等】 1 信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げる者は、破産管財人若しくは債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。 ① 受託者等
② 会計監査人(信託法第248条第1項又は第2項の会計監査人をいう。以下この章において同じ。)
2 前項の規定は、同項各号に掲げる者であった者について準用する。
3 第37条及び第38条の規定は、信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等(個人である受託者等に限る。)について準用する。
4 第41条の規定は、信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等について準用する。
破産規則 第22条 【破産者等の引致・法第三十八条等】 刑事訴訟規則中勾(こう)引に関する規定は、法第38条第1項及び第2項(これらの規定を法第39条、第230条第3項及び第244条の6第3項において準用する場合を含む。)の規定による引致について準用する
破産者の郵便物は、破産管財人へ転送されます。破産者の郵便物が、破産管財人に転送されることを「回送嘱託」や「嘱託回送」と言います。
破産管財人は、受け取った郵便物を開封して、借入先や財産に申告漏れがないかをチェックします。
第81条 【郵便物等の管理】 1 裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は 民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第3項に規定する信書便物( 次条及び 第118条第5項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。 民間事業者による信書の送達に関する法律 [閉じる] 第2条 【定義】 1 この法律において「信書」とは、郵便法第4条第2項に規定する信書をいう。
2 この法律において「信書便」とは、他人の信書を送達すること(郵便に該当するものを除く。)をいう。
3 この法律において「信書便物」とは、信書便の役務により送達される信書(その包装及びその包装に封入される信書以外の物を含む。)をいう。
4 この法律において「一般信書便役務」とは、信書便の役務であって、次の各号のいずれにも該当するものをいう。 ① 長さ、幅及び厚さがそれぞれ四十センチメートル、三十センチメートル及び三センチメートル以下であり、かつ、重量が二百五十グラム以下の信書便物を送達するもの
② 国内において信書便物が差し出された日から三日(国民の祝日に関する法律に規定する休日その他総務省令で定める日の日数は、算入しない。)以内(信書便物が、地理的条件、交通事情その他の条件を勘案して総務省令で定める地域から差し出され、又は当該地域にあてて差し出される場合にあっては、三日を超え二週間を超えない範囲内で総務省令で定める日数以内)に当該信書便物を送達するもの
5 この法律において「一般信書便事業」とは、信書便の役務を他人の需要に応ずるために提供する事業であって、その提供する信書便の役務のうちに一般信書便役務を含むものをいう。
6 この法律において「一般信書便事業者」とは、一般信書便事業を営むことについて第6条の許可を受けた者をいう。
7 この法律において「特定信書便役務」とは、信書便の役務であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。 ① 長さ、幅及び厚さの合計が九十センチメートルを超え、又は重量が四キログラムを超える信書便物を送達するもの
② 信書便物が差し出された時から三時間以内に当該信書便物を送達するもの
③ その料金の額が千円を下回らない範囲内において総務省令で定める額を超えるもの
8 この法律において「特定信書便事業」とは、信書便の役務を他人の需要に応ずるために提供する事業であって、その提供する信書便の役務が特定信書便役務のみであるものをいう。
9 この法律において「特定信書便事業者」とは、特定信書便事業を営むことについて第29条の許可を受けた者をいう。
第81条 【郵便物等の管理】 1 裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第3項に規定する信書便物(次条及び第118条第5項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2 裁判所は、破産者の申立てにより又は職権で、破産管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。
3 破産手続が終了したときは、裁判所は、第1項に規定する嘱託を取り消さなければならない。
4 第1項又は第2項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、破産者又は破産管財人は、即時抗告をすることができる。
5 第1項の規定による決定に対する前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
【参照条文】民間事業者による信書の送達に関する法律 第2条 【定義】 1 この法律において「信書」とは、郵便法第4条第2項に規定する信書をいう。
2 この法律において「信書便」とは、他人の信書を送達すること(郵便に該当するものを除く。)をいう。
3 この法律において「信書便物」とは、信書便の役務により送達される信書(その包装及びその包装に封入される信書以外の物を含む。)をいう。
4 この法律において「一般信書便役務」とは、信書便の役務であって、次の各号のいずれにも該当するものをいう。 ① 長さ、幅及び厚さがそれぞれ四十センチメートル、三十センチメートル及び三センチメートル以下であり、かつ、重量が二百五十グラム以下の信書便物を送達するもの
② 国内において信書便物が差し出された日から三日(国民の祝日に関する法律に規定する休日その他総務省令で定める日の日数は、算入しない。)以内(信書便物が、地理的条件、交通事情その他の条件を勘案して総務省令で定める地域から差し出され、又は当該地域にあてて差し出される場合にあっては、三日を超え二週間を超えない範囲内で総務省令で定める日数以内)に当該信書便物を送達するもの
5 この法律において「一般信書便事業」とは、信書便の役務を他人の需要に応ずるために提供する事業であって、その提供する信書便の役務のうちに一般信書便役務を含むものをいう。
6 この法律において「一般信書便事業者」とは、一般信書便事業を営むことについて第6条の許可を受けた者をいう。
7 この法律において「特定信書便役務」とは、信書便の役務であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。 ① 長さ、幅及び厚さの合計が九十センチメートルを超え、又は重量が四キログラムを超える信書便物を送達するもの
② 信書便物が差し出された時から三時間以内に当該信書便物を送達するもの
③ その料金の額が千円を下回らない範囲内において総務省令で定める額を超えるもの
8 この法律において「特定信書便事業」とは、信書便の役務を他人の需要に応ずるために提供する事業であって、その提供する信書便の役務が特定信書便役務のみであるものをいう。
9 この法律において「特定信書便事業者」とは、特定信書便事業を営むことについて第29条の許可を受けた者をいう。
第82条 1 破産管財人は、破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
2 破産者は、破産管財人に対し、破産管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で破産財団に関しないものの交付を求めることができる。
【参照条文】
第96条 【準用】 1 第40条の規定は保全管理人の請求について、第47条、第50条及び第51条の規定は保全管理命令が発せられた場合について、第74条第2項、第75条、第76条、第79条、第80条、第82条から第85条まで、第87条第1項及び第2項並びに第90条第1項の規定は保全管理人について、第87条第1項及び第2項の規定は保全管理人代理について準用する。この場合において、第51条中「第32条第1項の規定による公告」とあるのは「第92条第1項の規定による公告」と、第90条第1項中「後任の破産管財人」とあるのは「後任の保全管理人、破産管財人」と読み替えるものとする。
2 債務者の財産に関する訴訟手続及び債務者の財産関係の事件で行政庁に係属するものについては、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める規定を準用する。 ① 保全管理命令が発せられた場合 第44条第1項から第3項まで
② 保全管理命令が効力を失った場合(破産手続開始の決定があった場合を除く。) 第44条第4項から第6項まで
破産者に浪費が見られるケースでは「免責観察型」として、破産管財人が家計管理を行うことがあります。
破産者は、破産管財人へ毎月1回家計簿を提出して、監督してもらうことになります。浪費傾向から改善され問題ないと判断されると意見書が作成されます。その後、裁判官は意見書を参考にして、裁量免責を決定します。法律事務所ロイヤーズロイヤーズでは受任後、月ごとの家計の状況を把握するため「家計簿」を毎月大変ですが記帳し提出いただいています。受任後4か月程度は継続して提出いただくわけですが、この間に浪費があれば、弁護士がチェックして浪費しないように話し合いを重ね、つつましい生活に直していきます。
第157条 【裁判所への報告】 1 破産管財人は、破産手続開始後遅滞なく、次に掲げる事項を記載した報告書を、裁判所に提出しなければならない。 ① 破産手続開始に至った事情
② 破産者及び破産財団に関する経過及び現状
③ 第177条第1項の規定による保全処分又は第178条第1項に規定する役員責任査定決定を必要とする事情の有無
④ その他破産手続に関し必要な事項
2 破産管財人は、前項の規定によるもののほか、裁判所の定めるところにより、破産財団に属する財産の管理及び処分の状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならない。
【 参照条文 】
第12条 【支障部分の閲覧等の制限】 1 次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)を行うことにより、破産財団(破産手続開始前にあっては、債務者の財産)の管理又は換価に著しい支障を生ずるおそれがある部分(以下この条において「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した破産管財人又は保全管理人の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該申立てをした者(その者が保全管理人である場合にあっては、保全管理人又は破産管財人。次項において同じ。)に限ることができる。 ① 第36条、第40条第1項ただし書若しくは同条第2項において準用する同条第1項ただし書(これらの規定を第96条第1項において準用する場合を含む。)、第78条第2項(第93条第3項において準用する場合を含む。)、第84条(第96条第1項において準用する場合を含む。)又は第93条第1項ただし書の許可を得るために裁判所に提出された文書等
② 第157条第2項の規定による報告に係る文書等
2 前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。
3 支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、破産裁判所に対し、第1項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。
4 第1項の申立てを却下する決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5 第1項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
第146条 【破産管財人の債権者委員会に対する報告義務】 1 破産管財人は、第153条第2項又は第157条の規定により報告書等(報告書、財産目録又は貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を裁判所に提出したときは、遅滞なく、当該報告書等を債権者委員会にも提出しなければならない。
2 破産管財人は、前項の場合において、当該報告書等に第12条第1項に規定する支障部分に該当する部分があると主張して同項の申立てをしたときは、当該部分を除いた報告書等を債権者委員会に提出すれば足りる。
第147条 【破産管財人に対する報告命令】 1 債権者委員会は、破産債権者全体の利益のために必要があるときは、裁判所に対し、破産管財人に破産財団に属する財産の管理及び処分に関し必要な事項について第157条第2項の規定による報告をすることを命ずるよう申し出ることができる。
2 前項の規定による申出を受けた裁判所は、当該申出が相当であると認めるときは、破産管財人に対し、第157条第2項の規定による報告をすることを命じなければならない。
第158条 【財産状況報告集会への報告】 財産状況報告集会においては、破産管財人は、前条第1項各号に掲げる事項の要旨を報告しなければならない。
金融機関等の更生手続の特例等に関する規則 第13条 【機構等に対する財産状況の周知】 金融機関、証券会社又は保険会社の破産手続においては、破産管財人は、裁判所に提出した破産法第157条第1項の報告書の要旨を預金保険機構、投資者保護基金又は保険契約者保護機構に知らせるため、当該報告書の要旨を記載した書面のこれらの者に対する送付その他の適当な措置を執らなければならない。
破産規則第54条 【財産状況報告集会の期日を定めない場合の措置等・法第百五十七条】 1 裁判所は、法第31条第4項の規定により財産状況報告集会の期日を定めない場合には、破産管財人の意見を聴いて、破産管財人が法第157条第1項の報告書(以下こ- 15の条及び第84条において「財産状況報告書」という。)を提出すべき期間を定めることができる。
2 裁判所は、前項の規定により定めた期間内に破産管財人が財産状況報告書を提出しないときは、破産管財人に対し、その理由を記載した書面の提出を命ずることができる。
3 第1項に規定する場合には、破産管財人は、裁判所に提出した財産状況報告書の要旨を知れている破産債権者に周知させるため、財産状況報告書の要旨を記載した書面の送付、適当な場所における財産状況報告書の備置きその他の適当な措置を執らなければならない。