自己破産|資格制限とは|弁護士詳説
資格制限とは、破産手続きの開始により、一時的に、資格の取得・登録や資格使った仕事ができなくなることです。資格制限は破産法ではなく、各資格・職業に関する法律に規定されています。以下に表にまとめたのでご覧ください。
裁判所に自己破産を申立て、破産手続開始決定がなされると、債務は破産者となります。破産者は、特定の資格の欠格事由に該当したり、登録拒否・抹消事由、解任事由になったりするのであらかじめ確認しましょう。免責を得ると復権といって、これらの制限は解除され、以前と同じように働くことができます。
復権を得るまでが資格制限を受ける期間

免責のより復権を得てまた資格のある仕事が可能になる
資格制限を受ける期間は決まっており、破産者から復権を得るまでの期間です。早い人だと3か月くらいです。復権を得て破産者でなくなると、資格制限が解除されます。
以前は裁判所から自己破産が宣告されると、破産者の本拠地である市区町村へ破産の通知がだされ、破産通知を受けた役所は、破産者名簿(破産者台帳)に記録する手続きがなれていました。
破産者名簿には、とんどの人に免責許可が決定されるので、破産手続開始から免責が確定するまでの3か月~6か月の間の破産手続きをしている期間中だけ記載されていました。免責が決定し、破産者ではなくなると名簿の記録は抹消されます。しかし2005年以降の破産法の改正により、破産者名簿へ記載する規定が変わりました。現在は、破産開始決定を受けた後に免責許可が下りない人だけが、破産者名簿に記載されることになります。
自己破産した人の9割以上が免責許可決定することから、ほとんどの破産者は破産者名簿に1度も名前が載らずに復権します。
破産者名簿が必要な理由は、「公法上の資格制限」と「私法上の資格制限」があるためで、どちらも破産者であるかないかが大きく影響します。
公法上の資格制限
弁護士・公認会計士・税理士・公証人・司法書士・行政書士・不動産鑑定士・宅地建物取引業者・社会労務士・通称企業診断士・通関士・外国法事務弁護士・公証人・国家公安委員会委員・人事院の人事官・都道府県公安委員会委員・教育委員会委員・商工会議所会員・商品取引所会員・検察審査員・公正取引委員会委員・・証券会社外務員・質屋・古物商・生命保険募集員・損害保険代理店・警備業者・警備員・・・など お金や資産に関係する資格が制限を受けることが多く、これらの職業に就くときなどに身分証明書の提出が求められます。
資格制限のある職業に就いていて破産者になると、破産者に該当する期間で復権を得ない場合に、一時的に登録を取り消されることが多いようです。
職業によっては「取り消すことができる」としている規定の文言もあるので、必ずしも取り消されるとは限りません。
一般の公務員や会社員の方においては、破産自体が懲戒解雇事由になることはないため、解雇になる心配はありません。
資格制限に該当しない職業の例としては、医師・看護師・薬剤師・建築士・宗教法人の役員・学校教員などがあります。
職業の他にも、権限や責任が伴う資格で欠格事由に該当するため、喪失してしまうものがあります。
民法上(私法上)の資格制限
代理人・後見人・後見監督人・保佐人・補助人・遺言執行者・・・など
資格制限を受ける仕事に就いている場合の自己破産中の対応方法について

管財事件のように長期化する場合は、その間の収入対策を考える必要がある
資格が使えなくなる職業に就いている場合は、自己破産中は資格を使う仕事には就けないため、勤務していれば勤務先に伝える必要があります。上司に相談して配属を一時的に変更してもらうなどの相談をしてみてください。休職する必要もあります。
自営業の場合は、生活費を賄えない場合は、資格制限を受ける期間中、パートやアルバイトで収入を得られるよう事前に手配する必要があります。弁護士と事前に相談して計画的に自己破産を勧める必要があります。管財事件は時間もかかるため、資格制限を受ける期間が長期化すると思って事前対策が必要です。
資格制限を受けない職業の場合、影響はあるのか
勤務先に報告する義務はないため、黙っていれば嫌な思いをすることもなくそのままの状態で勤務を続けることが可能です。