任意整理|和解書の約款を理解する|弁護士詳説

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弁護士 竹内俊雄 第二弁護士会所属弁護士登録番号33505

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なぜ弁護士がついているのに再和解が必要になるのか|和解書の懈怠約款が重要なワケ

和解後に返済が遅れることは誰でもある。知らないと損をする和解書の約款について知らないと損失を招く

任意整理中の返済延滞のペナルティ|和解書の懈怠約款(けいたいやっかん)

懈怠約款(けたいやくかん)とは、任意整理の場合、毎月の返済金の支払いが滞った場合に備えて、あらかじめ定めておく契約条項です。債権者が、毎月の返済金が滞った場合に、債務者に対して課すペナルティです。未払いリスクを避けるために契約書に設けられます。任意整理の場合は、将来金利0%に対するペナルティと思ってください。

任意整理|和解書の懈怠約款(けいたいやっかん)に触れないようにすることが完済の条件


任意整理を一言で言うと、弁護士又は司法書士が将来金利0%で支払うことを約して、和解書のとおり支払っていく方法で完済する債務整理の方法です。その和解書には、万が一毎月払ってもらえなかったら、①和解はなかったことにしますよ。②一括請求しますよ。③払ってもらうまで高利な損害金も払ってもらいますよ。といったことが書かれています。任意整理で和解が成立し、そのまま一度も遅れずに完済できるか否か、任意整理が成功する秘訣はこの懈怠約款(けたいやっかん)を守ることにあります。
和解書に組み込まれる懈怠約款は、1度でも遅れたら、2度遅れたらなどとの記載があるのですが、1度遅れてしまったら、2回目には2回分の返済金が必要になります。現実的にはムリなため、遅れるような事態が発生した場合に備えて、日ごろから少しづつ貯金をするとか、万が一の場合は援助者に払ってもらうとか、任意整理で完済するためには「返済は一度も遅れられない」と考えるべきです。

和解書の懈怠約款・懈怠約款に抵触(返済遅滞)こそ再和解交渉が必要になる理由


 
和解書を理解する 特に注意しなければならない「懈怠約款」

 

個人再生手続は勿論、任意整理も一度和解したら遅れて払うことは厳禁

分割支払いの場合は、たいてい次のような文言の記載があります。
「乙(債務者)が前項の分割金の支払いを怠り、その金額が〇円(たいていは2ヵ月分)に達したときは当然に期限の利益を失う。
乙が期限の利益を失ったときは、また最終支払期限までに第1項の全額を支払わなかったときは、乙は第1項の金額から既払金の額を控除した残額及びこれに対する年〇%(たいてい立替金のようなときは3%とか、14.6%、貸金の場合は20%となる場合が多い)の割合による遅延損害金を直ちに支払う。」弁護士から和解した時に「和解書」を渡してもらい、その説明を受けます。その時に「…だから遅れないようにして払ってください。万が一遅れると一括払いを請求されることになります」と言われるはずですが、あまり頭に入らないようです。ですがこれは重要な事項です。
懈怠約款には、1か月分の遅れの場合と1度でも遅れたらとある場合、また1ヵ月のところが2カ月となっている場合があります。どういうことなのかについては、文言通りで弁護士が代理人として付ていようといまいと変わりません。
 

懈怠約款に抵触(返済延滞)してしまったら、個人再生手続か自己破産という方針変更も十分考えられる(再和解交渉ができないと弁護士が判断する場合)

 
但し弁護士が代理人として付いている(代理人を辞任してない)場合は、再び交渉して改めて交渉してもらい和解しなおすことも考えられます。再び交渉することができない場合は、先行きの見通しが立たない場合(失職してすぐには就職先が見つからないとか、病気で働けなくなったとか、ギャンブル癖が治らないとか)です。
既に裁判になっている場合は、給料の差押えも覚悟しなければなりません。そういった場合は自己破産にならざる得ない場合もありますので注意が必要です。
 
再和解交渉が必要になる理由は和解書に記載のある懈怠約款にあることがお分かりになったでしょうか。なぜ任意整理しているのに、多少の遅れがあったとしても弁護士がついていれば、完済できるのではないかと思うのかもしれません。ですが以上のとおり、金利をなくして元金だけ払えば完済できるといったことが可能になるには、遅れずに返済するということが条件になるということです。
再和解交渉が必要になる理由は、和解の条件に懈怠約款があるからです。再和解交渉については、こちらをご覧ください。 ▶ 任意整理|再和解交渉

懈怠約款(けたいやっかん)にある「遅れた場合」の危険性


返済ができないなどと一人で悩まない。返済できないと思ったときに弁護士に相談する

 

弁護士に依頼したからといって安心できない懈怠約款・返済できないと借金が膨らむ

 
まずは和解書(債務弁済契約書)の約款(やっかん)条項を読んでみましょう。
全部の債権者と和解が成立したら、弁護士が「辞任」する場合があります。当然毎月の返済は、自分で支払っていくことになります。
任意整理により全部の債権者との和解が成立すると、これからが自分にとって一番大変な時と覚悟しなければなりません。
つまり返済が始まります。都合のいいリボ払いではなく、金利のつかない任意整理という方法での和解をしているので、遅れだしたら将来利息がどんどん付いてきます。期限の利益(一定の期限が到来するまで返済をしなくてもよい、という債務者の利益 )が返済の遅れによって喪失してしまった時は損害金の利率が和解書に明記されていますから、支払いまでの損害金利が元金に加算されて一括の請求を受けることになります。
弁護士に再び依頼してもだらだらと返済できない場合は、日々遅延損害金利が加算され、想像以上に借金が膨らむと考えていいでしょう。